05/02 高僧の説教とジェゴグ
タイトルに「高僧の説教とジェゴグ」と書きましたが、実は直接には何の関係もありません。ただ昨夜、ウブドのジェゴグ演奏会場となっているブントゥユン村の集会所でプダンダ(バリ・ヒンズー教の高僧)のお説教があり、ジェゴグ演奏会場が変更になったという関係が生じたのです。このプダンダは今、バリ島で有名な人で島内各地やテレビで引っ張りだこだそうで、ブントゥユン村も8月に合同葬儀を計画しており、改めてヒンズーの教義などを聞くために、お招きしたようです。静止画ですが、プロジェクターを使って今様に工夫しながらの説教に、子どもたちや若い人たちも含めて数百人が一生懸命聞き入ってました。このへんがバリのすごいところだと思うのですが、どうでしょう。
残念ながら私には、さっぱりのお話で途中で失礼しました。後で聞いた話では、高僧は午後4時半から始める約束で来たのに村の人はだれも集まっておらす、クルクルで集合を知らせても、普通は1回目で馳せ参じてくるのに、この村の人は1回目でマンデー、2回目で着替え、3回目で、やっと集合した、このバリ時間がダメ、と皮肉られたようです。お説教は1時間以上遅れて始まり、30分で終わってしまったんだそうです。
この余波といいますか、まあお説教は大事ですからやむを得ないことですが、ジェゴグ演奏会場がビラ・ビンタンの隣の姉妹コテージ、ビンタン・パリの芝生の庭に変更になりました。いつもの屋内演奏とは違って、満天の星空の下、前方に広がる棚田や椰子の木々に、のびやかに重低音が広がっていく感じが、また一段と素晴らしいものになり、これはこれで、得をしたなという思いをしました。残念ながら太い竹のジェゴグは持ち運びできず聴く事が出来なかったのですが、50人余りのお客さんも十分に満足したようでした。 そして、今夜も同じ会場で、ヌガラから招いたティンクリッのグループの演奏が繰り広げられる予定で、今から楽しみにしています。
05/04 村のオダラン
皆さん、連休も半ば、いかがお過ごしですか?旅行中の人も多いと思います。バリ島にも大勢の人が訪れているようですが、ウブドの私の周辺はなぜか静かです。例年、日本のゴールデンウイーク、お盆、正月の連休は、航空運賃が高いので大手旅行代理店がセットする海辺のホテル宿泊のパッケージ旅行中心となり、ウブドを訪れる個人旅行は少ない、というのがウブドの観光業関係者の分析です。高めの運賃に目をつぶれば、この時期、ウブドでは、安い宿、穴場が見つかるかもしれませんよ。先日、この通信初登場の藤井さん、池亀さんが投稿してくれました。ありがとうございます。情報交流に皆さん、どんどん投稿して下さい。お待ちしています。
ところで、お客さんはなくて静かですが、結構、私は忙しいです。昨日からブントゥユン村のプラダラムのオダラン(創立記念祭)が始まりました。ジェゴグをやってる集会所に隣接のお寺です。一昨日はスワティさんと、お米やコピを寄進してきました。祭りを司る僧やガムランの楽士、来賓の王家の人たちを接待するため米コピはたくさん必要なのです。夜には、ビラ・ビンタンの駐車場で、カフェ・ビンタンへ食事に来た人たちがチャーターしたヌガラのティンクリッ・ジェゴグの演奏が行われました。
昨夜は村の人全員のお祈りが午後8時ごろから始まるというので、バリ時間の9時ごろ、スワティさん、パトリックさん夫婦と出かけました。寺の内庭は既に地面に座り込んだ人でぎっしり。外庭にも人があふれていました。ほどなく僧のマントラが始まり皆でお祈り。プマンクに聖水を振り掛けてもらって、三々五々外庭へ出て待ちます。内庭では女性たち50人余りがルジャン、ペンデッとも呼ばれる神へ捧げる踊りを奉納、プマンクたちがラワールなどをお供えする儀式を執り行って、この日は終了。寺の神々の祠に供えた、高さ50cm余りの果物などのお供えガボガンを、おさがりとして、いただいて帰路についたのは真夜中を過ぎていました。
4日間、いろいろな儀式が繰り広げられるので、村の人たちも大忙しです。
05/12 バリ島のベベのお話
先に、この通信でもお知らせしましたが、鈴木靖峯さんの「インドネシア・バリ島からの風-くらしを彩る ものモノ展」が今日から18日まで、跡利絵NOPPE(東京都港区南青山6-1-6 パレス青山106 TEL 03-3400-5525)で始まっているはずです。関東方面の方、のぞいてあげてください。さてタイトルのベベ(あひる)のお話です。毎朝、「グァッ、グァッ、グァッ」と前や裏の田んぼで目覚ましをしてくれたベベたちが、昨日あたりから別の職場へ引っ越していったようです。静かになって、やれやれと思う半面、少し寂しい気もしています。
ベベたちは一群れが50羽あまり。白か茶色がほとんどですが、中に1,2羽黒いのが混じっています。毎朝、竹竿の先に白や赤の布をつけた旗を持つ、おじさんに連れられて、その日の職場にやってきます。車やバイクの行き交う道路を隊列を組んで鳴き交わしながら行進し、旗の一振りであぜ道を一列縦隊で進み、位置についたところで、いっせいに田んぼへ飛び込みます。
稲刈りが済んだ田んぼを這いずり回りながら落ちたモミをついばんで一日を過ごします。その糞が肥料になるという、かつて日本でも見られた農法ですね。ベベたちがいる田んぼには先ほどの旗が立てられており、終日、その周辺で餌をあさっていますが、お昼時には近くの蓮池で羽根を休めて一服という図も見られます。
夕方、おじさんが現れて旗を一振りすると、いっせいにあぜ道に整列し、合図で粛々とねぐらへ帰っていきます。この旗が生まれた直後からの刷り込み現象で母親代わりとか。ベベたちのこの行動、バリ島旅行では一見の価値ありです。その面白さに、1日、ついて歩いたという観光のお嬢さんもいるほどです。
このベベが美味いのです。(一転、話が変わって顰蹙をかいそうですが・・・)ウブドで一番人気のレストラン「カフェ・ベベ・ブンギル(よごれたアヒル)」は最近、大きな駐車場を新設したほどです。バリに人たちのご馳走、ラワールやスープにも欠かせません。ベベはバリの生活に大きく貢献しているというお話でした。